世界的天才ミュージシャン『エルトン・ジョン』の半生を描いた映画ロケットマン
こんにちは、希空工房®のKです。 今回は私が英語のヒアリング学習の為に購入したイギリス出身の天才ミュージシャン『エルトン・ジョン』の物語を描いた映画ロケットマンについての感想やストーリーの紹介をしたいと思います。
2018年に発表されたボヘミアンラプソディーという映画(イギリス出身のバンド『クイーン』について描かれた)で指揮を執ったデクスター・フレッチャーがこのロケットマンでも監督を務めました。
ロケットマンはエルトン・ジョンの幼少時代である1950年代からトップアーティストとなった後の1990年辺りまでを描いたミュージカル映画です。日本では2019年8月に公開されました。映画のタイトルであるロケットマンはエルトン・ジョンの楽曲の一つです。
幼少時代、両親から愛情は与えてもらえなかったレジー
映画の冒頭はド派手なオレンジ色のコスチュームに身をまとった男が施設の中に入ってくるところから始まります。 そこには様々な依存症を抱えた人たちが集まっています。 男は自らがアルコール依存症・コカイン中毒・セックス依存症・買い物依存症・マリファナ好き・かんしゃく持ちである事を赤裸々に語り始めます。 男は自らの名前を『エルトン・ハーキュリーズ・ジョン』と名乗ります。 こちらはエルトン・ジョンの正式な本名ですが実は25歳の時に改名しています。 司会役から、どんな子供だったのかと問われると幼少時代のエルトン・ジョンが現れ、楽曲【The Bitch Is Back】に乗せてミュージカルがスタートします。
ミュージカルの終わりに幼少時代のエルトン・ジョンは母親(シーラ)に『レジー! いつまで遊んでいるの!』と怒鳴られます。 エルトン・ジョンの出生時の名前は、レジナルド・ケネス・ドワイトという名前でレジーという愛称で呼ばれていました。
家に戻ったレジー少年は部屋の掃除をしている母親の傍らでラジオから流れるスケーターズ・ワルツという曲のメロディーを楽譜なしで耳コピでピアノを弾いて母親と祖母(アイヴィ)を驚かせます。 この事がきっかけでレッスンを受けることになります。 父親(スタンリー)にも聞かせたいとレジー少年は喜んでいましたが、父親は息子に全く関心がないばかりか音楽に没頭しレジー少年が『ハグをして欲しい』と訴えても『甘えるな』と冷たくあしらうばかりです。 また、両親の仲も悪く母親でさえもレジー少年の育児に関心がありません。
ある日、レジー少年が夜遅くまで部屋で楽譜を見ながら勉強をしていると、母親から『早く寝なさい』と叱られます。 言いつけ通り部屋の明かりは消したものの、どうしても諦められないレジー少年は懐中電灯で楽譜を見ながら想像でオーケストラの指揮を執り始めます。
ここからオーケストラの演奏が始まり、途中からレジー少年のピアノソロへと移りますが、とても楽しそうでオーケストラの伴奏者たちも笑顔で見つめています。この頃は本当に純粋に音楽を愛し、勉強熱心だった事が伺えます。
才能の片鱗を見せ始める少年期
時は移り11歳になったレジー少年はレッスンの甲斐もあってか、みるみる上達していきます。レッスンの先生の勧めで王立音楽院へ推薦されます。
母親に報告すると驚かれますが、毎週土曜日に王立音楽院まで送迎するような時間はないと断られてしまいます。 そこで唯一の理解者であった祖母が送迎を買って出てくれました。 王立音楽院へ祖母と向かったレジー少年は緊張のあまり帰ろうとしますが、勇気を振り絞り試験を受けます。 レジー少年は楽譜も持たずに試験に臨んでいましたが、音楽院の先生が途中まで弾いていた曲を完璧に再現してみせて合格します。
王立音楽院に合格するという事はとてもすごい事ですが、父親のレジー少年に対する態度は酷くなるばかりに加え、両親の仲もどんどん悪くなっていきました。
ここで『 I WANT LOVE 』というバラード曲に載せてミュージカルが始まります。 不仲な家族全員で歌う様は何とも言えない感情にかられますがレジー少年の心情をよく反映された作りになっています。
ある日、音楽院でのレッスンの帰りに母親の不倫の現場に遭遇します。 レジー少年は酷くショックを受けますが、母親は悪びれるそぶりも見せませんでした。 それからほどなくして両親は離婚してしまいます。 最後にお別れのハグもない事にレジー少年は祖母の前で涙を流します。
父親からも母親からも愛情をもらえず、孤独を感じていたレジー少年を救ってくれたのが【ロックンロール】でした。 エルビスプレスリーのレコードを大変気に入り、髪形を真似していいか母親にたずねます。 『今の内に楽しんでおきなさい。 薄毛の家系だから20歳でツルツルになるのだから』と言われ、ゾッとしてしまいます。
レジー少年はエルビスプレスリーの髪形で小さな酒場でライブを行います。ここで、『Saturday Night’s Alright For Fighting』とうロックンロールな曲に乗せてミュージカルがスタートします。 このミュージカルの間にレジー少年から青年になったレジーへ移り変わります。
重要な出会いが数多く訪れる青年期
レジーは【ブルーソロジー】というバンドを組んで街で演奏していたところ、アメリカンソウルツアーのバックバンドを探していたソウルプロモーターから雇われることになります。 彼らのバックバンドとして演奏していく中でどうやったら自分が成功するのかを考えるようになります。
ここで黒人のソウルシンガーから『名前を変えて人生を変えるんだ。 成りたい自分になる為に』とアドバイスをもらいます。 これがきっかけでレジーは名前を変える事を決意します。
新聞の広告欄でミュージシャンタレント募集の文字を見つけ、レジーはデンマーク通りにある音楽会社を訪ねます。 応対したレイ・ウィリアムズという男から名前を聞かれたレジーは、アメリカンソウルツアーでバックバンド仲間のエルトン・ディーンと、事務所の壁に飾ってあったビートルズの写真のジョンレノンから取ってとっさに【エルトン・ジョン】と名乗ります。
歴史に名を残す名前が決まった瞬間でした。 レイ・ウィリアムズ(写真右)はボスであるディック・ジェームス(写真左)の怒りを買い急いで面接を終わらせようとしますが、エルトン(レジー)は作詞のできる人物を紹介して欲しいと頼み込みます。 そこで、たまたま手渡されたのが【バーニー・トーピン】の書類でした。まさに運命の掛け合わせといったところでしょうか。
さて、次号Elton Jhon(映画)ROCKETMAN-(下)-ではバーニー・トーピンと初めて顔を合わせる所からスタートします。 次号へ続く。
盟友【バーニー・トーピン】との出会い
紹介を受けたエルトンとバーニーは街の喫茶店で待ち合せました。 はじめはお互いに緊張しているような様子でしたが、すぐに打ち解けます。 エルトンはバーニーの書いた『ボーダーソング』を大変気に入りすぐに曲を付けました。 バーニー本人にとってはボツだった歌詞ですが、エルトンには手が止まらない程すらすらと曲が書けたようです。
二人はその後、お互い離れた暮らしの中でバーニーはエルトンに歌詞を書いて送り、エルトンはそれにお曲をつけるという作業を繰り返し何百曲も作曲しました。エルトンはバーニーからの歌詞が届くのを心待ちにしている様子が伺えます。
この過程の中で名曲『ホンキーキャット』も生まれます。エルトン本人の談話でバーニーとは20年間、一度も口論をした事がないというコメントが残されています。 後にエルトンとバーニーは何度か関係が途切れてしまう事はあるのですが、必ずバーニーはエルトンのもとに戻ってきているので、エルトンにとって家族よりも自分を理解してくれる存在のうちの一人である事は間違いありません。
この間のバックミュージックに『ボーダーソング』が流れていますが、二人は書き溜めた楽曲をデンマーク通りの音楽会社のディック・ジェームス社長に披露します。 しかし、どれを披露しても酷評されてしまいます。社長は『同居しろ。ビートルズのレノンとマッカトニーのようにな。老人の誰もが口ずさむような曲を一つ作れ。そうしたらアルバムも夢じゃないかもな』と命令します。ここから、二人はエルトンが付き合う事になる管理人の女性のアパートに住むことになります。
ある日のバックバンドの打ち上げでバンドのメンバーがバーニーに、エルトンは同性愛者だと告げます。エルトンは管理人の女性と付き合っていましたが、そのことを否定しませんでした。ベロベロに酔っぱらった二人はアパートに戻りますが、バーニーは彼女にその事をちゃんと打ち明けるように説得します。そして、こうも言います。『アメリカを制覇しよう。君のピアノは超一流だ。君が歌えば奇跡が起こる。僕らの未来は開けているんだ』と。感銘を受けたエルトンはバーニーに身を寄せようとしますがバーニーは異性愛者の為、拒否されてしまいます。
この時代(1960~1970年代)ではまだLGBTに対する世間一般の理解は進んでいませんでした。同性愛者である事を彼女に打ち明けたエルトンはアパートを追い出されてしまいます。
住むところを失った二人はエルトンの実家に二人で住むことにしました。母親は『いつか帰ってくると思っていたわ。住むのは構わないけど、ちゃんとお金は払いなさい』と告げます。そして実家での生活の中でエルトンジョンの楽曲の中で最も有名となったあの曲が誕生します。普段、エルトンに全く興味を示さない母親のシーラでさえもその曲に聞き入っている様子が描かれます。
『Your Song』をキッカケに一気にスターダムへ駆け上がる
この曲をディック・ジェームス社長に披露すると、『よくやった。LET IT BE 以来の大ヒットだ』と太鼓判を押されます。そして『このままアメリカも落としてこい』と命令を下します。社長はすでにアメリカのロサンゼルスにあるトルバドールという有名なライブハウスのオーナーのダグにすでに話をつけてあると言います。エルトンはまだ自分にはまだ無理だと断りますが、社長は強引に話を進めます。
エルトンとバーニーはプロデューサーのレイと一緒にアメリカへと旅立ちます。念願だったアメリカの地に到着したバーニーはタワーレコードや観光名所を見つけてはテンションMAXで喜んでいます。しかし、この後に重要なステージが待っている為に緊張でそれどころではないエルトン。
対照的なテンションの二人とレイはライブハウス・トルバドールに到着します。オーナー・ダグが迎えますがエルトンは思ったよりも小さいと感想をもらします。ダグはこのサイズこそが肝なんだと説きます。月曜日の夜は会場の外まで熱気で溢れかえるといい、実際に今夜もイギリスから新生ロックスターがやってきた、と多くの人が会場に詰め掛けます。
本番が近づくにつれ、エルトンの緊張は極限に達します。ナイーブになったエルトンはトイレにこもってしまいますがレイに『この、玉無し野郎!』と悪口を浴びせられ覚悟を決めます。
ステージに入りピアノの椅子に座ったエルトンを観客は懐疑的な目で見ています。お前はどれだけやるんだ? まさにそう言っているような雰囲気です。しかしエルトンはド派手な衣装でド派手なパフォーマンスを見せます。曲は初の全米一位を獲得することになる【クロコダイル・ロック】
観客たちはエルトンのパフォーマンスに乗せられ踊りまくっています。バーニーもレイも大いに盛り上がっています。オーナー・ダグも嬉しそうです。そして、エルトンの演奏を熱いまなざしで見ている男も映し出されます。
この上記のシーンはどうやって撮影しているのでしょうか。素人ながらに疑問に思いますが、ステージを大成功に収めたエルトンは多くの人に認められ、ママ・キャットでの打ち上げに参加します。喜びをバーニーと分かち合いたいエルトンでしたが、バーニーはライブハウスで知り合ったヘザーという女性と夜を共にします。バーニーに想いを寄せていたエルトンはショックを受けます。そこへ、一人の男がやってきます。
ジョン・リードと名乗る男は『君は今夜の活躍で自ら導火線に火をつけたんだ。君ならアメリカを制することが出来る。』と言います。エルトンは、マネジメントの仕事をしているというジョン・リードと肉体関係を持ちます。二人が絡み合うシーンは【Take Me To The Pilot】という曲をバックに映し出されます。
実はこのジョン・リードは後に、イギリスのロックバンド『クイーン』のマネジメントも務める敏腕マネージャーです。2018年に公開された映画・ボヘミアンラプソディーでもジョン・リードは登場します。映画では悪役のような扱いになっていますが、実際にそのような事実はなかったそうです。
そして、それからのエルトンは一気に頂点へ駆け上がります。当初の予定よりも長くアメリカに滞在し、名を挙げていきます。アルバム制作や公演も次々に決まり、エルトン25歳にして億万長者となり、自身を取り巻く環境は大きく変化していきます。そんな中、イギリスへの帰国が決まりエルトンはジョン・リードに一緒にロンドンに来てほしいとお願いしますが断られます。
富と名声を得たエルトンだが、次第に自分を見失ってしまう
帰国してからもエルトンの勢いは止まりません。トレードマークの派手なサングラスと衣装でたくさんの曲を発表し、多くのアーティストとも共演を果たしました。女性歌手キキとのデュエット曲【Don’t Go Breaking My Heart】を収録中、突如ジョン・リードがエルトンを訪ねます。突然の再来にエルトンは慌てふためきますが、喜びを隠しきれません。そして、ここから二人は本格的に付き合う事になりますが、ジョン・リードの意向によってそれまで契約していたディック・ジェームス社長とレイ・ウィリアムズと手を切ります。 エルトンはせめてレイだけでも残せないのかと訴えますが、今はビジネスとして大事な時期だと諭されます。また、二人の関係を世間に知られる訳にはいかないので両親にも根回しが必要だとして、会って来るように指示されます。
余談ですが、エルトン・ジョンは遺伝性の薄毛により一時かなり進行していましたが、植毛治療による改善で今現在でもとてもフサフサです。映画ではこの頃から髪の毛が抜けるシーンや髪の毛を気にするシーンが増えてきます。エルトン役を演じたタロン・エガートンは薄毛に見せる為、髪の毛を剃って臨んでいたそうですが『もう、生えてこないんじゃないか』とビクビクしていたそうです。
エルトンは久しぶりに父親のスタンリーと再会します。スタンリーは再婚していて息子二人を紹介されますがエルトンとは違い、とても愛情を注いでいるようです。 お土産にショパールの高級時計を渡してもそっけなく、コンサートに来てくれないかと言っても断られます。レコードへサインを頼まれましたが父親宛ではなく同僚宛だった事にエルトンはさすがに怒りと悲しみをこらえきれない様子です。 最後に『二度目のチャンスは大事にね』と告げてその場を後にします。エルトンはタクシーのなかで悲しみをこらえきれず涙を流します。
ジョン・リードは母親にも会うように言いつけます。しかしエルトンは気が向かないのか一向に会おうとしません。とあるコンサートの15分前にエルトンはジョン・リードのもとを飛び出し、公衆電話で母親に電話を掛けます。
エルトンは意を決して、自身が同性愛者である事とジョン・リードとの関係も白状します。しかしシーラは『……何年も前から知っていた。 できれば黙っていてほしい。 あなたは誰からも愛されることはない』と言われ酷くショックを受けます。 この時代にLGBTである事を公表することは、大きなイメージダウンに繋がり差別や偏見を受ける事が当たり前の時代だったためです。それはエルトン本人だけでなく家族や関係者にも大きな影響を与えます。
どれだけ地位を確立し、成功しようとも両親からは愛をもらえず落胆します。本物の愛は得難いと感じたエルトンは自分を慰めてくれる、嫌なことを忘れさせてくれるアルコールやドラッグに深くはまっていきます。また、売れなければ自分の存在意義が無くなってしまうという強いプレッシャーもエルトンを苦しめている要因の一つでした。
あるコンサートの出番の前にバーニーはこう言います。
『エルトン、大丈夫なのか? こんな衣装を着て本当に歌いたいのか? 昔のレジーに戻ってもいいんだぞ』と。しかしエルトンは激昂しながらこう返します。 『戻りたいわけがないだろう。 誰がレジーに金を払うというんだ。 お前は歌詞だけを書いてりゃいいんだ』と。 しかし、さすがに言いすぎだと我に返ったエルトンは一言だけ謝り、ステージへと向かいます。
さらに孤立を深めるエルトン。そして向かう先は・・・
コンサートを終えるといつの間にかベッドの上で朝を迎えます。 自分がどこで何をしていたかも覚えていない様子です。 庭先に出ると、ジョン・リードの浮気現場に遭遇します。もう別れようと口論になりますが、そこへ母親のシーラと祖母のアイヴィと隣に住んでいたアンダーソン夫妻が現れます。
そしてエルトンの自宅でたくさんの人を招いてホームパーティーが開かれます。バーニーも含めほとんどの人が楽しんでいるなかで一人浮かない顔のエルトン。 ジョン・リードとのこともあり『誰も自分の事など見ていない』と自暴自棄になり、大量にドラッグとアルコールを摂取しプールに飛び込み自殺未遂を起こしてしまいます。
プールの底に沈んでいくと幼少時代のエルトンがこの映画のタイトルである【Rocket Man】をピアノを弾きながら歌い始めます。 すぐに大勢の人たちがエルトンを助け出します。 救急車に運ばれる際にバーニーはもちろん、あのシーラも心配そうに見ていますがジョン・リードだけは『勝手なことをしやがって』と冷たく言い放ちます。 そんな事態があったにも関わらずすぐにコンサートに出演します。
この【Rocket Man】の歌詞は、ずっと宇宙をさまよっている僕はロケットマン、地上に降りられるのはまだ長い長い時間がかかるだろう、と歌っているのですが、この映画のタイトルに使われた理由がよく分かります。
場面は急に移り変わり、飛行機の中でのバーニーとの対話シーンが始まります。 バーニーは『少し休みを取りたいんだ』と言い出します。そして『一緒に来ないか、エルトン。また、昔みたいに二人で曲を作って静かに暮らすんだ。やり直そう二人で』と誘います。バーニーはエルトンが苦しんでいる事を分かっているのです。 しかしエルトンは『一人で帰れ。 俺は一人でやっていける』と再び拒否します。
バーニーとは離れたエルトンはより一層、孤立を深めます。ドラッグはやめられず、どんどん横柄になっていき仕事仲間からは冷たい視線で見られ、自分が今どこにいるのかさえ把握できていないような状態です。【Bennie And The Jets】に乗せてミュージカルが始まりますが、過去の自分や周りの人々に言われたセリフなどが回想のように混ざってきます。自分はいったい何者なのか、何がしたいのか、そんな自問自答をしているようなシーンに思えます。
コンサート会場の床に這いつくばったところから目覚めるシーンに切り替わります。こういったシーンが増えているのは恐らくドラッグでハイになった状態でライブに臨んでいるので記憶が途切れているのだと思います。
この頃になるとレコードの売り上げが思うように伸びていません。 それをジョン・リードのせいにしますが、エルトンは結んだ契約のせいでクビにすることも出来ず、言う事を聞くしかありません。
そんな時、エルトンは一人の女性と出会います。 誰にも理解されないと思い込んでいたところに、自分をずっと見てきたという人が現れ、とても理解してくれる彼女にエルトンは感銘を受けます。そして二人は結婚をする事になります。
結婚式には多くの人が参列しました。母親のシーラを始め多くの人が祝福しましたが、バーニーだけは浮かない顔をしています。なぜなら、エルトンは同性愛者だからです。やはりレテーネ・ブリューエルとの結婚生活は長くは続きませんでした。映画ではほんのワンシーンで離婚に至っていますが、実際には4年ほどの期間だったそうです。離婚に至るシーンでは朝食時からウイスキーをオレンジジュースで割って一気に飲み干すシーンがありますが、アルコール依存症の恐ろしさを垣間見ます。
後日、エルトンは母親のシーラと二番目の夫フレッドと会食します。母親から外国にある島を買ってほしいと頼まれたエルトンはどうして?と聞くと、フレッドが『君の起こすスキャンダルに母さんは心を痛めてしまっているんだ』と言います。エルトンは成功することの何が悪いんだと言い返しますが、シーラは『何の苦労もせずに成功してお前がいい思いをしている時、私ばかりが苦労をしていたんだ。 お前など産まない方が良かった』と言われます。
誰との関係もこじれていくばかりで場面はさらに切り替わり、別のテーブルにつくとそこにはバーニーがいます。20年間一度も口論をした事がないと映画の冒頭でのセリフは何だったのかと思うほどの言い合いが始まります。
バーニーが自分を説教しに来たと感じたエルトンは一番大事な時に自分を捨てたとバーニーを責めます。 朝も夜も寝る間もなく働いて今では街も歩けなくなったと言い、机で足を伸ばして鉛筆を転がしているだけの奴に何が分かる、とまくしたてます。 ずっとエルトンの事を心配してきたバーニーもさすがに呆れ返ってしまい【Good Bye Yellow Brick Road】に乗せて歌いながら席を立ちます。
バーニーに裏切られたと思い込んでいるエルトンは更にアルコールとドラッグに溺れます。そして、とうとう肺感染症の発作を起こし死にかけますが、ジョン・リードはこんな事はしょっちゅうあるとして容赦なく公演の予定を次々に入れていきます。
そして、マディソン・スクエア・ガーデンの公演前の楽屋で準備をしている時に鼻血が突如こぼれます。 とうとうエルトンは自分の限界を悟り、オレンジ色の派手なスーツを着たままタクシーに乗り込みます。
その向かった先は映画の冒頭で出てきた様々な依存症を克服するための厚生施設でした。オープニングの状況に戻りエルトンは自分の事が嫌いだったと気づきます。些細なことにいちいち怒っていた自分が恥ずかしいと言います。その後、シーラやスタンリー、ジョン・リードなどがエルトンを貶めるような発言をしますが怒る事はありません。
そしてバーニーが登場した時に、素直にそばにいて欲しいと伝えます。バーニーも、もちろんだと答えます。最後に幼少時代のレジーが現れ、ハグをします。
現実の世界に戻って、エルトンが施設内の清掃をしている所にバーニーが訪ねてきます。エルトンはもうピアノは弾いていないと話しますが、バーニーは書いてきた歌詞をエルトンに手渡します。そして『自分が何者なのか。それはたった一つしかないんだ。君は人に愛される曲を書く。それだけでいいんだよ。』と説きます。
バーニーが帰ったのち、エルトンは久しぶりにピアノの前に座ります。懐かしい感じを噛みしめながら弾き始めた曲は【I’m Still Standing】です。この曲でエンディングへと向かいます。
ROCKET MANを観た個人的な感想
本編の紹介が長くなったので短くまとめますが、この映画を観た感想はよくあるアーティストの伝記的な作りではあるものの、ミュージカルを組み合わせてあって飽きる事が余りありません。過去形でないのは今現在(視聴10回以上)でもまだ観ているからです。
本来は英語のヒアリング用に購入したのでエルトンジョンの物語であるとは知らずに買いましたが、何度も観るうちにハマってしまいました。こんなにも数多くの名曲を出していることも知ることが出来ましたし、LGBTについても改めて考えるいい機会になりました。
ロケットマンを観る前にボヘミアンラプソディーは観ていましたが、率直な感想を言うと私はロケットマンの方が面白かったです。ミュージカル映画は初めてでしたが全く違和感なく観る事が出来ましたし、コロナウイルスの問題が解決したらミュージカルの舞台なども観に行ってみたいと思いました。また、何といっても主演のタロン・エガートンの歌がとても上手です。はじめはエルトン本人の歌声にのせて口パクなのかと思っていたほどです。
それにしてもスター街道を歩む人たちにはエルトンのような不遇の時代や環境で過ごしていたという過去が多い気がしますが何か因果関係があるのでしょうか。映画を作るにあたって、脚色は必ずされているはずですが根本的な出来事は事実に基づいているはずなのでエルトンジョンの事が詳しく知りたいという人は是非一度ご覧になって下さい。
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